家に帰ったら、おとうが袋入りの饅頭と皿を手にして仏間に入っていくところだった。
それをみて、今日はバ様の立日だということを思い出したわけで。
手にした皿には出荷し切れなかったのか、それともただのクズなのか、イチゴが乗っていた。
「さきがとまったイチゴがあまった」といっていたので、大体はクズだったんだろう。
帰宅後のサイトめぐりを終え、ダイニングに行くと、おとうがヒーターの前でTVを見ながら寛いでいた。
傍らには食品トレーに乗った10個前後のイチゴ。
「どしたん、それ?」と聞くと、「まぁ、クズだがね」と言う答えが返ってきた。
しかし、おいらの目から見ても十分な大きさ。
規格で言えば3L〜2Lと言ったところだろうか。
そのうちの一つ…一際目を引く大きさのイチゴをおとうが手に取り、果実部分の先を指差し、「ここを落とせば十分食える」とおいらに手渡した。
おいらもそこの所は十分承知している。
痛んだところさえ切り取ってしまえば、何も気にする事無く齧り付くことが出来るのだから。
傷つき、白く色が落ちた部分・虫に食われたか穴の開いた部分・わずかに土のついた部分を一緒くたに切り落とし、盛大に噛り付く。
…甘い。
下手の部分がわずかに白いだけのイチゴは、見た目どおりの甘さだった。
難を言えば少々冷たいところだろうか。
イチゴは常温、あるいはビニルハウス内の温度で少々温まった感のする程度が美味い。
なぜなら歯が痛くならないからだ…。
シンクの前でイチゴを貪り食っていると、裏口からゴン太ゆんの帰宅音がしたので、裏口を開け、招き入れる。
一直線に餌場に赴き、えさ入れである灰皿が空っぽであるのを目と鼻で確認すると、猛烈に講義の鳴き声を上げ、足に擦り寄ってのおねだり攻撃を受けた。
近頃のゴン太ゆんのえさはもっぱら『ねこ大好きフリスキー ミックス味』である。
それを袋から一掴み、えさ入れに入れると同時にゴン太ゆんはえさ入れに覆いかぶさるように取り付き、講義の鳴き声を張り上げていた猫はどこ行った、と言うほどの静寂。
いや、静寂ではない。
盛大にカリカリを食すゴン太ゆんの食事音がする。
ましましと食事に没頭しているゴン太ゆんを見やり、ふとこの間ショックを受けた事象を思い出す。
「おとう…ナメクジとかの害にはあってるかい?」
「地べたで栽培しとったころはな」
「何か…有効な手口とかあるの?」
「さぁなぁ……。でも、ナメクジならビールじゃないか?」



あなたも知ってたんですかorz